自己抗体測定とは

重症筋無力症 (myasthenia gravis, MG)の患者血清中には複数の自己抗体が存在し、抗体測定により実地の臨床現場でより多くの情報が得られる可能性を有しています。
MGの診断では抗アセチルコリン受容体 (acetylcholine receptor, AChR) 抗体は必須であり、陰性例で全身型の場合には筋特異的チロシンキナーゼ (muscle-specific tyrosine kinase, MuSK) に対する抗体の測定が必要です。それ以外にもMG患者血清中には横紋筋由来蛋白、サイトカイン、熱ショック蛋白などに対する自己抗体の存在が報告されており、特定の臨床像との関連が知られています。抗横紋筋抗体の中では抗titin抗体が高齢発症MGと、抗リアノジン受容体抗体と胸腺腫やtacrolimusの有効性との関連が報告されてきました。

慶應大学神経内科の研究室ではMG患者血清中に蛋白免疫沈降法の手法を用いて、2005年に電位依存性カリウムチャネル(voltage-gated K channel, VGKC) のサブユニットの1つ、Kv1.4に対する自己抗体が存在することを発見しました1)。これまでの研究成果から抗Kv1.4抗体は、抗titin抗体と抗リアノジン受容体抗体と並んで、第3の抗横紋筋抗体と位置づけられその臨床的意義が注目されています。

抗Kv1.4抗体の受託測定が可能になりました。 詳しくはこちらをご覧ください→ 抗横紋筋抗体の受託測定


  抗Kv1.4抗体の測定法  

  抗Kv1.4抗体の臨床像